0765da90.jpg 「素晴らしき哉、人生!」(2010年5月20日付「やすとログ」( http://www.yasutolog.com/201005.html )参照)を観て、実物はモノクロでも名作ならカラー映画以上に鮮明な映像記憶が残ることを知り、今回もチャレンジしてみました。邦画「天国と地獄」(1963年。黒澤明監督)をレンタルで観ました。

高台に豪邸をかまえている製靴会社の重役・権藤(三船敏郎)。彼の子供と間違えられ、お抱え運転手の子供が誘拐されてしまいました。身代金の支払いを最初は拒否していた権藤、しかし、要求の3,000万円を厚さ7センチの鞄に指定どおりに入れ特急「こだま」へと乗り込みました。犯人は果して、この密室空間の中から現金をどのようにして受け取ろうというのでしょうか?。

 この映画の見どころは3つです。1つは、言うまでもなく、スリル&サスペンス。2つめは、歴史に残る俳優らの若かりし頃の名演技です。三船敏郎を初め、仲代達也、香川京子、三橋達也、加藤武、山崎努、江木俊夫、志村喬、名古屋章、東野英治郎、浜村純、西村晃、菅井きん、・・などなど、今から見れば、超豪華キャストです。そして、3つめは、文字どおり、現代社会における「天国と地獄」とは?の問い掛け。「天国と地獄」というタイトルをどうして付けたのかを考えながら観るとますます傑作であることがわかります。黒澤監督は最後の最後までこの対比にこだわって映画をつくったようです。