a9480765.jpg 西日本中心に出張が続いています。移動時間の過ごしかたはひとつの課題です。往復9時間掛けて移動して1時間の会議という日もあります(^_^;)。移動が多くて「大変」と思うか「幸せ」と思うかは心の持ちよう、人生をどう考えるかによります(笑)。

 移動時間のうち新幹線車中ではほとんど、パソコンを開いて仕事をしています。ある意味「誘惑」が少ないので集中して仕事ができる時間帯でもあります。しかし、在来線あるいはバスではそういうわけにはいきません。この時間帯は最近、仕事に関わることはいっそのこと諦めて、本を読むことにしています。仕事ができなくて「ロス」と思うか?、豊かな人生の時間と考えて「幸せ」と思うか?。心の持ちようです(笑)。

 ここひと月ほど、三島由紀夫の「豊饒の海」を夢中になって読んでいます。読後の感想は「やすとログ」でいずれご報告します。よく、「無人島に本をただ1冊だけ持って行けるとすれば・・?」という議論があります。吉田康人は今なら間違いなく、「豊饒の海」を持っていくでしょう。この小説は4部作・4分冊になっていますが、すべてつながっているので、「4冊じゃねぇか!」と言わないでね(笑)。いずれも大作ですが、「春の雪」、「奔馬」、「暁の寺」と読破して、このログを書く時点では、最終巻「天人五衰」に入ったところです。

 この小説の表層的な主題は「輪廻転生」です。しかしここには、私達東洋人にとって最も根本的な死生観、現実と夢、信仰・信心、エロース・アガペー、天皇・皇室や武士道を初めとする東洋の文化、・・すべてが見事に情緒的に、かつ、見事に論理的に総括されています。三島にとって渾身の作品であったに違いありません。

 萩へ向かう山道を背景に読んでいると何とも「幸せ」な気分になれます。