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任期付き、また、公募とは言え公務員として許される範囲で書き留めておきたいと思います。

住民投票以降の2週間、沈鬱な日々を過ごしてきました。

迷った時、悩ましい時には「原点」に帰るというのが自分を見失わないための鉄則です。

どのような志で、何の目的で、そして、何をしに大阪にやってきたのか?。区長となるにあたりお世話になった同志へのご恩返しを充分にできているか?。

吉田康人がいま帰るべき原点は「住吉区将来ビジョンH30」( http://www.city.osaka.lg.jp/sumiyoshi/category/2224-0-0-0-0.html )巻末に記した「『住吉区将来ビジョンH30』の策定にあたって」。3年ほど前にしたためたものですが、良いことか悪いことか、全く古びてはいません。議決事項ではありませんでしたが大阪市会も含め公にオーソライズされているものです。

この「原点」と改めて真正面から向き合い住吉区行政のトップリーダー公務員としての役割をしっかり果たしていきます。

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「住吉区将来ビジョンH30」の策定にあたって

(1)日本の危機

日本国は「和」の国家です。

平成23年3月11日(金)に発生した東日本大震災で多くの人々が不幸にもお亡くなりになりました。生存被災者のかたがたは、悲痛な状況の中にあってもお互いに助け合い、励まし合いながら未来に向かって生きておられます。日本国中で、東北を支えようとする動きが自然と巻き起こりました。そして、東北の人々や私たち日本人の姿は世界中の人々の胸を打ったのです。

私たちはここで、日本の心が国内のみならず世界中の人々に対しても感銘を与えたことに改めて思いを寄せる必要があります。被災時や震災復興の過程を経て力強く発揮されている「和」の心や精神の尊さ。そして、この国においてこれから、「和」を大切に育んでいかねばならないという私たちの思い。東日本大震災は、図らずも、日本人の心の原点である「和」を見つめ直すきっかけを与えてくれました。震災で払われた犠牲を決して無駄にしてはなりません。

「和」は「相対的な関係の調和」、「バランス」であり、また、「つながり」、「絆」です。人と人、人と自然、昔と今、神話と現在、人と自然と科学技術、体と心、自由と責任、権利と義務、そして、支え合いと自立。我が国は、あらゆるものを美しく調和させ、そこに国のありかた、人々の生き方を穏やかに求める国家です。

しかしながら、戦後社会において、個人主義が行き過ぎ、責任と義務を伴わない自由・権利意識がはびこり、自然に対する畏敬の念が薄れ、日本国や先人の偉業・努力への敬意と誇りが否定され続け、そして、「和」を大切にしようとする美徳が失われるなど、日本の本来のありかたから離れていく姿に大きな危機感が募っています。

我が国国民はここでもう一度、「和」の精神に立ち返り、父母、家族、友人、地域、国家、そして、自然、歴史・伝統・文化、神話とのぞれぞれの「和」を大切にしようとする道徳心を新たにし、私と公、自由と責任、権利と義務、そして、支え合いと自立を見事に調和させようとする美徳を呼び起こそうではありませんか。

(2)大阪市政改革に託された日本の希望

生活困窮者に対する生活保護制度は本来、国民全体で支え合うシステムです。しかし、自立と義務という観点から、今の制度が本当に適正であるのか精査し、必要があれば是正していかねばなりません。さらに、社会秩序を守る法を犯したりその抜け道を悪用して生活保護を受けている人々の存在を許してはなりません。

家庭内暴力・虐待、いじめで大きな悩みを抱えている人々も多数に上ります。不登校、引きこもり、ニートで悩む若者やその家庭も増えていると言われます。これらの問題は、介護や保育などと同様、当人や家族だけにその役割を負わせるのではなく、社会全体の「和」、「つながり」、「絆」を力強く築いて大きく解決していかねばなりません。

大阪市が抱えている課題はさらに深刻です。特に、経済は国際的にも国内的にも低調で、失業者も多い。子供達の学力は全国平均以下、街頭犯罪では全国ワースト1を争っているなど、経済・雇用、教育、防犯などの各分野での立ち遅れはもはや待ったなしの状況です。

平成23年12月、新たに就任した橋下徹市長のもと、大阪市はその市政改革の基本的な方向性を定めました。その根底に流れている哲学の一つが「個人の自立と地域の自立」であり、いま一つがその具体像としての「大阪にふさわしい大都市制度」の構築です。前者は、自立した個人・地域による「和」の力で大阪を再建しようとする考え方であり、後者は、それを実現するための統治機構を論じたものです。

その方向性を具体的に実現、実施していく手段、手法を定めたのが「市政改革プラン ・新しい住民自治の実現に向けて- アクションプラン編」です。そこで掲げられた市政改革の柱は次の3つです。

大きな公共を担う活力ある地域社会づくり
自律した自治体型の区政運営
ムダを徹底的に排除し、成果を意識した行財政運営

この3つを骨格に市政運営、区政運営を進めていくのがこれからの大阪市政改革の具体的、現実的な姿です。

いわゆる「公募区長」として平成24年8月、住吉区長に就任した私は、危機に瀕した我が国と大阪を救い再建する一筋の光明はひとえに大阪市政改革にあるとの一心で、私自身の民主的正当性も自ら担保しつつ、住吉区政改革の舵取りを行っていきます。

(3)誇り高きまち・住吉をつくる

私たちのまち住吉は、我が国最古級・最大級の住吉大社が象徴するように、歴史・伝統・文化・神話と現代生活との「つながり」が息づくまちです。自然と現代文明との「調和」、そして、人々の心と物質文明との「和」が大切にされているまちとも言えます。区民どうしはもちろん、地域の各種団体と区の政治・行政とが強い「絆」で結ばれたまちでもあります。

上述したとおり、我が国は本来、あらゆるものを美しく調和させる国家です。しかしながら今では、あらゆる「和」のバランスが崩れようとしています。その象徴的な事柄が、「支え合い」が「なれ合い・もたれ合い」になっていることです。大阪市民の厳しい目が注がれている労働組合と公務員との「なれ合い・もたれ合い」もそのひとつです。

大阪市政最大の課題とも言ってよい生活保護の実態を見ても、税金を払う人、税金で暮らす人との二極分化が進んでしまいました。多くは社会のセーフティネットを真に必要としている人々ですが、一部には安易に生活保護に寄りかかろうという人々がいることも事実です。社会活動全体で見ても、社会に貢献する人とその恩恵に預かる人との二極分化が進んでいます。経済不振がその要因となっていることを否定はしませんが、それでも、人々がそれぞれ自立し、経済力のあるなしに関わらず自分の得意分野で力を発揮することによって、本当の意味での「支え合い」の社会を再建しなければなりません。

このような問題意識のもと、住吉区においても、自分のことを自分でできる大多数の区民によってまちづくりを進めなければなりません。自分のことを自分で「できる」には2つの意味があります。1つは、「自己決定」。自分で決められるということです。そしてもう1つは、自分が責任を負う「自己責任」です。できる限り自分で決めて自分で責任を負う、そんな区民によるまちづくりを進めます。

同様に、自分たちのまちを自分たちの手でつくることが「できる」まちづくりを進めなければなりません。自分たちの手で運営し、かつ、その結果責任も自分たちが負うという「自主運営・自己責任」のまちづくりを進めます。

大阪市内においても特筆すべき「和」のまち住吉。住吉区役所を中心とする住吉区行政は、区民の「自己決定・自己責任」、地域の「自主運営・自己責任」を重視する区政運営を最も強めることで、「大阪にふさわしい大都市制度」へ貢献し「新しい日本、新しい大阪」のモデルとなる「誇り高きまち・住吉」を築きます。そして、区民のみなさんに胸を張っていただける住吉区役所をつくることを誓います。

今回まとめた「住吉区将来ビジョンH30」は、住吉区内外からいただいたご指導を参考に、以上の基本理念によりまとめあげたものです。区民のみなさまにおかれては、よろしくご共有のほどお願い申しあげます。ありがとうございます。


平成25年4月
住吉区長 吉田 康人

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