先週末の6月6日(土)、住吉区民センター大ホールに於いて、「住吉区制90周年記念式典」を開催いたしました( http://www.city.osaka.lg.jp/sumiyoshi/page/0000309878.html )。主催は住吉区役所。住吉区政協力会のご協力をいただきました。

吉田康人は同式典の冒頭、主催者としてご挨拶いたしました。90年にわたる住吉区制、いや、1800年に及ぶ住吉の歴史をバックにご挨拶させていただき大変光栄でした。

恩師・林英臣先生からご教授いただいた歴史観、世界観をもとに、住吉のみなさんへいま最もお伝えしたいことをご挨拶に盛り込みました。以下、その内容をご報告申し上げます。

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■御礼

住吉区長の吉田康人でございます。本日、住吉区制90周年の節目をみなさまとともにお祝いできて大変嬉しく存じております。ご来場のみなさまへ厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございます。

後ほど、住吉の地域交流、地域活動にこれまでご貢献くださったすべてのかたがたへの御礼の意味も込めて、奥野清一さま、奥井史朗さまへ、区民を代表して感謝の意をお捧げいたします。

同じく多治見左近先生への感謝は、学問的専門家のお立場から、あるいは、自治会の枠を大きく超えて広く大阪全体、住吉区全体での活動のお立場で住吉をお支えくださったすべてのみなさまへの感謝の思いの象徴でございます。

これまで、住吉のまちづくりにご貢献くださったみなさまへ改めて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

■歴史的視点

戦後70年の今年、大正14年4月1日の区制施行から数えて90年になります。大阪府住吉郡の設置からは140年弱、摂津の国住吉郡が置かれてからは1200年あまり、私達のまちのくらしの中心であり続けた住吉大社は建立以来1800年の歴史を誇ります。

私達には、100年単位、1000年単位で住吉、大阪、さらには、わが国の歩みを振り返る使命がございます。

■文明法則史学

文明法則史学という学問がございます。世界文明の発展のサイクルには法則があるとの学説です。

紀元前1200年頃から紀元前400年頃までは、中国、インド、ペルシアを中心とする東洋文明の時代でした。紀元前400年から西暦400年は、ギリシア、ローマを中心とする西洋の時代。西暦400年から1200年は、中国、ペルシア、日本では奈良、平安を中心とする東洋。西暦1200年から2000年は、ルネサンス以降の西洋、ヨーロッパ文明の時代でした。東洋ではこの間、数々の文明が滅び、植民地化の歴史が繰り返されました。

年表にしないとわかりづらいと思いますが、いま申し上げましたとおり、800年周期で東洋文明と西洋文明の発展と衰退が入れ替わってきました。次の800年は、文明法則的には、東洋の時代になるはずです。

■日本の立ち位置

さて、アジアで突出した文明先進国の日本は東洋の国なのでしょうか?、西洋国家の一員なのでしょうか?。

いずれにしても、東洋の今後の発展は文明の法則ではありますが、東洋が西洋から覇権を奪うような覇権争いの800年にしてはならないと思います。そういう意味で考えると、東洋と西洋との間に位置し、双方を理解し、双方の絆を強めることができるわが国こそが、これからの国際社会のリーダーであるべきです。

絶対的価値観、これが往々にして国際紛争の火種となるわけですが、こうした価値観を持たず、周りとのつながりを最も重視する日本。人と人、人と自然、昔と今、神話と現在、人と自然と科学技術、体と心、自由と責任、権利と義務、そして、支え合いと自立。あらゆる価値やモノの調和、バランスをめざすわが国がしっかり立っていかないと、世界の覇権争いはなくならないし、地球環境問題などグローバルな危機から人類を守ることもできません。


また、一方で、国際社会のリーダーとなるためには、「和」を重んじながらも、個人個人の価値観が尊重され個人の自立をめざす近代民主主義的な考えかたもちゃんと理解し、そして、実践できる新しい形もわが国はめざしていく必要があります。わが国は今、世界文明の大きな法則的流れの中で、厳しい岐路に立たされています。

■住吉の次の100年

住吉は現在、大阪の中でも抜きん出た「和」のまちであり、あらゆるものを「調和」させようとする精神性に溢れたまちです。今は亡き私の祖父、祖母、ふたりのおじ、伯母が、東粉浜の私のアパートから歩いて10分ほどのお墓に眠っておりますが、今に生きている私達だけでなく、こうした祖先や、あるいは、住吉を愛するすべての人々の息づかいが聞こえる実によいまちです。

私は、住吉は日本の縮図だと考えています。住吉の次の100年は、東洋と西洋との端境に立ち世界のリーダーとなるわが国と同じように、「つながりや絆」を大切にしながらも個人や地域、あるいは、組織・団体のひとりだちも大切にするまちをつくるための、住吉がわが国全体のお手本になるための、自己改革の100年であると思います。

「つながりや絆」と「自立」とを見事に調和させる世界標準の「和」の心。これを育み、守る「道」をみなさんとともに切り開いてまいりたいと存じます。

本日は誠におめでとうございました。

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