2018年01月
昨日(月・祝)開催した「平成30年大正区成人式」で、吉田康人から新成人への「区長式辞」の概要は次のとおりです。
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■ご挨拶
みなさん、おめでとうございます。大正区長の吉田康人でございます。
主催者、ご来賓各位、大正区民を代表して、新成人、ならびに、保護者、関係者のみなさんへお慶び申し上げます。
そして、本日の「平成30年 大正区成人式」をともに主催してくださっている「成人の日のつどい」運営委員会のかたがたへ厚く御礼申しあげます。ありがとうございます。
改めまして、新成人のみなさん、おめでとうございます。お気持ちはいかがでしょうか?。
みなさんが今日、大正区役所に足を運んでくださったのには、「この式典へ出てけじめを付けよう」、「この後のアトラクションが楽しみだ」、あるいは、「お友達と久々に会えるかな」など、各人各様の思いがあったものと存じます。いずれにしても、新成人のみなさんと盛大な式典を催せることを大変嬉しく感じております。
■「日本国憲法」前文
さて、「区役所で成人式をやる」ということが決まりますと「日本国憲法や選挙の啓発をしてくれ」、「まちづくりへの関心を高めてくれ」とのご意見をたくさんいただきます。
我が国憲法の前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、私達の安全と生存を守ろうと決意した」と書かれてあります。
しかし逆に、「もし、平和を愛さず公正さも信義もない勢力によって私達の安全と生存が脅かされるようなことがあれば、どうするのか」、私達は突き詰めて考えておかねばなりません。
■横田めぐみさん
今から40年前、昭和52年11月15日の夕方、中学校のクラブ活動の練習を終えた当時13歳の横田めぐみちゃんがいつもの時間になっても家に帰ってきませんでした。家族は必死に探しました。警察も、誘拐や事故などあらゆることを想定して、捜査を進めました。しかし、手掛かりが全く見つかりませんでした。
これは、ずっと後になって出てきた証言ですが、お父さんとお母さんが必死に探していた時、めぐみちゃんは、工作員に連れ去られ、40時間も、北朝鮮へ向かう船の真っ暗で寒い貨物置場に閉じ込められていました。めぐみちゃんは、「お母さん、お母さん」と泣き叫び出入口や壁などあちこちを引っ掻いたので、北朝鮮に着いた時には手の爪が剥がれそうになって血だらけでした。
めぐみちゃんがいなくなった日から家族の生活が全く変わりにぎやかだった食卓は火が消えたようになりました。お父さん、お母さんは「どうしてこんな悲しい目に遭うのだろう。もう死んでしまいたい」とも考えました。
同じ頃、北朝鮮による日本人拉致が数多く発生し、我が国政府が拉致被害者として認定している日本人は20名弱に上ります。
■「守られてきた側」から「守る側」へ
新成人のみなさん。みなさんは、今日を境に「守られてきた側」から「守る側」へ回ります。でも、どうやって守るんですか。
横田めぐみさんのような拉致被害者を取り戻しそういう被害が二度と起こらないように、日本国家としてみんなで守るしかないじゃないですか。
国内へ目を転じると、虐待を受ける児童、女性、障がい者、そして、ご高齢者の問題はどんどん深刻になっています。
こどもの貧しさ。カネやモノの貧困だけでなく心の貧しさの連鎖もそうです。
もはや、家庭、家族だけで解決できる状況ではなく、家庭、学校、社会が協力してみんなで守るしかありません。
大正区では昨年、区民のみなさんにも度重なる議論をしていただき、「大正区地域福祉ビジョン」をまとめました。みんなが安心して楽しく暮らせるまちを、みんなの力でつくりあげていく計画です。
今年は、その「ビジョン」に基づき、災害が起きた時、自力で逃げられないご高齢者、障がい者、妊婦さんの安全をまず確保するシステムを、地域ボランティアのかたがたと一緒になって、汗、水垂らしてつくっていきます。
「自分は大丈夫だ」と、無関心なかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、私達はいずれ、体も心も衰えみんなに支えてもらうことになります。私達の家族、友人の中には既に、みんなに支えてもらっている人々もいるはずです。つまり、「おたがいさま」です。
■「みんなで守る」仕組み
自分ひとりの力では、国もまちも家庭も守れないし自分を守ることさえできません。
みんなで守るということは、みんなで役割分担して、そして、自分の代わりにやってくれる人を選んで任せるということでもあります。
その大きな仕組みをつくるのが、政治・行政であり、そして、選挙です。
新成人のみなさんには、是非、自分の愛する家族、友人、まちや国を「みんなで守る」この仕組みをしっかり理解していただき政治に参画し選挙へ行くことを、強くお願い申し上げます。
さらに、この壇上にいらっしゃるご来賓を先頭に自治会やまちのボランティアのみなさんが、どんだけがんばって、安心で楽しいまちをつくっているかについて、関心を是非持ってください。
■最後に
最後に、またひとつお願いがあります。
今日これから、お友達との懇親会があるかもしれません。そういうものが終わって家に帰ったら、みんなで守る仕組みの中心にいてみなさんの一番近いところでみなさんをいつも守り育ててきたお父さん、お母さんなど保護者のかたがたへ、ひと言でいいから「ありがとう」って言って差し上げてください。もし照れ臭かったら「ありがとう」のメモを渡すだけでも構いません。
本日は誠におめでとうございました。
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