4e07c0be.jpg 今後、ツタヤの「シネマハンドブック 2012」からも観たい映画、観るべき映画を拾っていきたいと思います。その中でも特に関心を持った邦画「空中庭園」(2005年。豊田利晃監督)をレンタルで観ました。

 「ダンチ」と呼ばれるニュータウンに暮らす京橋家。「家族の間で隠し事をつくらない」というのが一家のルール。しかし内実はそれぞれ、誰にも言えない秘密を抱えていました。娘のマナ(鈴木杏)は学校をサボってショッピングセンターやラブホテル。弟のコウ(広田雅裕)も学校をサボりがち。また、父の貴史(板尾創路)は浮気に走り、妻の絵里子(小泉今日子)はベランダのガーデニングに勤しみながら母(大楠道代)との長年の因縁に悩んでいました。そんなある日、貴史の愛人ミーナ(ソニン)がコウの家庭教師として京橋家にやってきます。

 息子が母に語った「ママも思い込んでると本当のものが見えないよ」という言葉が印象的でした。確かに、「理想の家庭」というものは幻想に過ぎず、それにこだわった瞬間、家族やそれを構成するひとりひとりが本当に大切にしなければならないものを失うことになります。地に足のついた家庭生活、愛、夫婦、友情、あるいは、いまシーズンである受験、就職、・・それらを根本的に考えさせてくれる映画です。