1362e8e5.jpg 引き続き、ツタヤの「シネマハンドブック 2012」から拾って観ています。これもあらすじから関心を持ちました。フランス・オーストリア・イタリア・ドイツ映画「隠された記憶」(2005年。ミヒャエル・ハネケ監督)をレンタルで。

 テレビの人気キャスター・ジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)は美しい妻アン(ジュリエット・ビノシュ)、ひとり息子ピエロ(レスター・マクドンスキ)と幸せな日々を送っていました。ある日、送り主不明のビデオテープが彼のもとへ届きます。ジョルジュの家を正面から隠し撮りした映像が映っていました。テープは何度も送られてきます。そして、内容も回を追うごとにプライベートな領域へとエスカレートしていくのです。

 フランス映画らしい重苦しい映像に人種差別や子供の残虐性といった深いテーマが織り込まれています。「記憶」が徐々に回復するのに反比例して家族の安定や信頼が喪失していきます。これまでにも何度か申し上げてきたとおり、「結論」を観客へ委ねる作品のほうが専門家の間では高い評価を得ます。この映画も、数々の国際映画賞を獲得していますが、前評判・広告の「衝撃のラストカット」の重要ポイントを見落とさなかったとしても「真相」はわからずじまいです。余韻に頭を抱えます(笑)。