
区長就任以来3度目のお正月を迎えました。大阪市役所、住吉区役所での仕事始めは、朝一番で橋下徹市長の訓示を市役所で受けた後、区役所に戻り、区役所幹部へその内容を伝えつつ新年初回の住吉区役所戦略会議(旧・課長会議)を主宰するのが主な任務。さらに、就業時間後、区役所職員のみなさんに集まってもらい、市長訓示の要点と合わせて、区長としての訓示。
下記は昨日行った住吉区長としての吉田康人の年頭訓示の要点です。今年も住吉区役所に対しまして変わらぬご支援、ご協力、ご指導をお願い申し上げます。
≪■挨拶
新年あけましておめでとうございます。
息子ら3人は家にほとんどいないので、家族というより、妻と長い時間を一緒に過ごすことができました。
いつも申し上げているとおり、「第二の家族」である区役所職員のみなさんのお顔を拝見してホッとしています。
来年のこの年頭挨拶では、お礼とお別れの言葉が中心となるでしょう。今日はだから、ラスト1年に懸ける私の想いを述べさせていただきます。
■橋下徹市長からの訓示
まず、本日午前中、市役所にて受けた市長訓示を、これらは区役所職員のみなさんへの訓示でもあるので、報告します。
「任期最後の年頭挨拶にあたり、ラスト1年に対する思いを述べたい」が冒頭でした。
「行政現場のチャレンジ」について言及がありました。市長としては「これまで、行政として理屈が立たない、これまでのやりかたと異なる割合が5分5分以上でも職員から上がってくるチャレンジを認めてきた。その結果、プロの目を持ったマスメディアが報じてくれたチャレンジングな事業が昨年は多くあった。すべて認められるわけではないだろうし『嫌だったら選挙で落として』と言えない立場では難しいところもあるだろうが、行政現場の能力を表に出すためにも、現場のチャレンジを認めてあげてもらいたい」とのことでした。
次に、知事と市長とを同時に経験してきた市長として「大阪府と大阪市の組織には越え難い壁がある」とのお話もありました。「これまで解決できなかった問題も府と市とが力を合わせることによって動いた。しかしこれは、松井知事と橋下市長との特別な関係があったからだ。引き続き、この特別な関係に期待するのか?。乗り越えられる制度をつくるのか?。そこが問われている」。
次に、「大阪市には、基礎自治体として、住民の意見を汲み上げ切れていない問題点もある」との指摘がありました。「府議会でも市議会でも議論されていることはほぼ同じ。学校のテレビ、学校図書の問題など、細かなことが議会へ上がって来ない。基礎自治の仕事としてもう少し細かく、多様性に富んだルール化が必要」とのことでした。そして、「大阪市単一のルールでは合わないのかなと思っている。区長も、現場の声を聞いてもらってはいるが、選挙で選ばれていない限界を感じているはず。市内の決定には複数の公選職が必要」との問題意識にも言及がありました。
住民投票に関連しては次のとおり問題提起がありました。「選管が決めることだが、5月17日に大都市改革についての住民投票がある予定。どんな結果になっても、大阪府と大阪市とが力を合わせられる何らかの制度化が必要。住民ニーズの多様性を把握する何らかの制度化が必要。市長は都構想を訴え、国においては総合区制度の法律改正も行われたが、これまでとは異なる制度が必要」と、知事と市長双方の経験を踏まえた問題提起でした。
最後に、「東京一極集中の中で日本が傾いたことは間違いない。災害で東京が壊滅したらどうなるのか?。大阪府と大阪市とが力を合わせて東京の受け皿をつくる」と市長の意欲も述べられました。「5月17日住民投票の結果を受け、また、リニアの延伸がなされることにより、大阪と東京の二極で日本を再生する。大阪府と大阪市との力を結集して必ず、日本を再生していく。大都市改革がそのきっかけとなる。制度化して新しい大阪をめざす。最後の一年、悔いのないようやっていく」と力強く締め括られました。
■日常事務の細部に宿る行政の真実
さて、私からのご挨拶へ移ります。
区長を2年5カ月やってきての結論ですが、住吉区役所だけでなく、全区役所、さらに、大阪市役所全体に危機的に欠けているものが2つあります。ひとつは、「工程管理の哲学がない」こと、いまひとつは、「議論が風化する、議論が積み上がらない」ことです。
哲学、思想、文化がないところにこれらを根付かせるのは実に骨が折れます。職員のみなさんご自身も、私に何を言われているのかわからない、わかってはいてもどうすればいいのかアイデアがないと悩んでおられることと思います。私は住吉区役所のトップ・マネージャーとして、この2つの課題を克服するための取り組みをさらに強化していきます。
私はそのために、みなさんの日常業務の細部にわたるまでしっかりこの目で見て、時には処方箋を出していきます。私がどうして、日常の決裁のしかた、会議の行いかた、報告のしかた、お客さまへの接しかたの細々とした部分にまでチェックをしようとしているのか?。それは、日常事務の細部に実は行政の真実が宿っていると考えるからです。
区役所職員としての行動規範、如何に行動すべきかの真実は、みなさんが区役所のひとつひとつの実務をどうこなしているかに見ることができます。住吉区役所のありかた、住吉区役所が区民のみなさんのお役にどのようにして立っているかの真実は、私達の日常業務のひとつひとつに見ることができます。
具体的に、私は区長として、「住吉区将来ビジョンH30」、ホームページにはまだアップされていないようですが、「大阪市住吉区役所事業計画27へ向けての区長方針」、「平成27年度 住吉区運営方針」、「住吉区役所事業計画書27」、「平成27年度 住吉区役所予算調書」、さらには、管理職のみなさんの人事評価に関わる「平成27年度の目標管理シート」、そして、各職場で具備してくださっている各管理台帳、ひとりひとりの職員が毎日何をどこまでやるのかを明記した日常事務の管理表、これらが整合性を持ってつくられるようしっかりマネジメントしていきます。
事業計画書の策定を昨年度からお願いしています。この計画書には各事業の目的、目標値、具体的な進めかたが記載されています。福祉サービスに携わっておられるかたがたは法的枠組みに基づいて実務をしてくださっていますが、しかし、それらをどう効率的に、そして、どう健全に行うかは区役所でマネジメントされることです。その工程管理の方法論も事業計画書には本来盛り込まねばなりません。一部には、この事業計画が執筆者任せになっている部署もあるようですが、是非、各々の部署で、それぞれの事業計画がどうまとめられているか、どうまとめるべきか、どうやって実現するか、みんなで議論してください。
みなさんおひとりおひとりにも、自らの毎日の事務が、住吉区役所全体のマネジメントとどう関わっているのかをしっかり意識して仕事を行っていただきたいと思います。そして、先ほども申し上げたとおり、みなさんの大阪市職員、住吉区役所職員としての行動規範は日常事務のひとつひとつに現れるものであり、この住吉区役所のありかたは私達の日常業務のひとつひとつに現れるとの気概を持っていただきますよう強くお願いいたします。
■世界との関わり
最後に、年末、年始、テレビドラマの多くの総集編を見ました。NHKの回し者ではありませんが、世界に普遍的な価値観を日本へ入れることをめざした「マッサン」、「花子とアン」、天下と世界とを同一視した「軍師官兵衛」、世界貢献をめざす「花燃ゆ」。世界と我が国との関わりを描いた素晴らしいドラマです。ドラマだけでなく、世界との関わりなくしては語れない出来事がこの国で相次いで起こっています。
私は今年、この傾向がますます強まり、私達の日常生活、先ほど申しました日常の私達のひとつひとつの実務、さらには、未来へ羽ばたく子供達の描く夢と世界とが切ってもきれない密接なものになっていくと考えています。
「だから、国際社会の勉強をしてください」と申し上げたいわけではありません。区役所で行われる日常業務や日常事務のひとつひとつが、世界標準と合っているか、世界の窓口のひとつとなるこの大・大阪市の役所として相応しいものであるか、世界に貢献できるこのまちを・子供達を育むことができる行政になっているか。それが問われる時代の入口に私達は立たされています。
そのことをしっかりご認識くださいますようお願いを申しあげて私からの年頭訓示といたします。≫