次に、教育委員会事務局住吉区担当教育次長を兼任する私からの冒頭説明内容を掲載いたします。

 

教育委員会が公開している議事録では、その要旨しか記載されていません。しかも、たったの2行。「吉田住吉区担当教育次長からの説明要旨は次のとおりである。住吉区の学校選択制について、自宅からの通学距離がおおむね2キロメートル以内の小学校を選択範囲とする制限条項について、これを付さない自由選択制へ改正する」。これだけ。

 

前のログでお示しした公開対象資料中、「議案書」http://www.city.osaka.lg.jp/sumiyoshi/cmsfiles/contents/0000313/313462/gian-H270609-sumiyosiku.pdf )の「改正理由」の項に記述があるからという考えかたなんでしょうが、私はこういう議事録公開の仕方はダメだと思います。

 

私は、この「改正理由」の記述は議案書としてまとめたのであって、当日の説明にはそれを補う内容も入れ、また、言葉でこそ言い表せる熱い思いも入れたのです。それらを議事録として残さない現行のやりかたは改善要と考えます。また、後ほどご覧いただく当日の教育委員各位のご発言(議事録)には私の口頭説明のみの部分へも触れたものもあります。当該冒頭説明(下記。手元のメモに残っていました)も併せて議事録に残すべきです。

 

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13回教育委員会・議案第125号「住吉区の就学制度の方針の変更について」

提案内容原稿

 

■挨拶

 

住吉区長の吉田康人でございます。教育委員各位におかれましては本日、「議案第125号」につきご審議いただき誠にありがとうございます。

 

早速、提案内容をご説明いたします。

 

■提案内容

 

本日ご提案申し上げますのは「住吉区の学校選択制の改正」でございます。

 

2ページをお開きください。「住吉区の学校選択制における制度内容の改正について」の(1)(2)の項に明記いたしておりますとおり、現行、「自由選択制としながらも、自宅からの通学距離が概ね2キロメートル以内の小学校を選択範囲とするいわゆる『2キロメートル制限条項』を設けている」選択の方式を、「この制限条項を付さない『自由選択制』」へと、平成28年度入学から改正することをご提案いたします。

 

■改正理由

 

「何故、今この問題に手を付けるのか?」、「情勢の大きな変化はあったのか?」、あるいは、「学校選択制の検証、見直しの時期にやればいいではないか?」と尋ねる向きも正直ございました。

 

しかし、大・小の改革を取り混ぜて、さらに、現場の実務に至るまで、教育改革をこれまで断行してきた大阪市教育行政は、状況や環境の変化に応じてその都度、不断に改革を行わねばなりません。特に、平成28年度・29年度入学児童の選択権は、今年度・来年度秋にしか保障するチャンスがないからです。

 

また、住吉区役所としても、24区でもトップクラスの選択率実績のある区役所の「責務」として、かつ、「区民の自己決定、自己責任」を区の基本方針に掲げていることから、学校選択制を初めとする教育改革のDNAを大阪市域全体へも承継する必要があると認識しています。

 

さて、住吉区においては、学校選択制に区民が賛成する一番の理由は、「こどもの選択権の拡大」、次に、「学校の情報開示」です。ここで82ページをご覧ください。これは、本年5月に実施しました「学校選択制についての住吉区民意識調査」の調査分析の概要でございます。学校選択制導入前に行った区民意識調査の時点、すなわち、平成252月と比べて、この賛成理由が上位2位を占めることは変わっておりませんし、さらに、「0歳児から幼稚園・保育所年長組まで」層の「こどもの選択権の拡大」に対するメリット感が飛躍的に向上しているという状況がございます。

 

しかしながら、事前に資料をご配付申し上げておりますので既にお目通しかとは存じますが、「2キロメートル制限条項」があることにより、59ページ、60ページでご覧いただけますとおり、区の端に居住する児童ほど選択できる小学校の数が少なく選択権が阻害されているという実態もございます。平成26年度、27年度入学の希望状況の実績によりますと、就学予定者がその居住する校区以外の学校を選択した校数は、学校によって1校のところもあれば5校のところもあるなど大きな差が出ております。

 

これらは具体的な実態でございますが、いずれにしても、「制限条項」を付すことによってこどもの選択権を阻害することは「あるべき姿」ではないと考えております。84ページ、85ページにお示ししておりますが、「学校選択制」の定着によって選択の方式として「自由選択制」を支持する区民や保護者が飛躍的に増えてきた住吉区においては特にそう言えます。

 

平成24年度の現行「方針」策定時点では、「学校選択制を導入すると児童が危険になる。よその校区から通学してくる児童の安全は、こども見守り隊は守れない。学校、区役所はそのリスクに責任を負うべき」との区民、保護者の情緒的な意見は確かにありました。しかし、「どこの校区から通学してくる児童であってもすべての児童の安全を等しく見守る」との区民や保護者の理解や感情は、導入後この2年間で、充分に成熟してきているものと考えています。

 

この改正を志してから区民各層や教育関係者と様々議論し、また、区民意識調査を通じて区民全体の考えも聴取した結果、概ね合意が得られましたので、上記のとおりご提案申し上げる次第です。なお、平成28年度入学予定児童の選択権を保障するためにも、速やかに改正を行うべくご提案いたします。

 

■意見聴取

 

最後に、区役所が力点を最も置かねばならない区民などの意見聴取の経過についてご報告申し上げます。住吉区役所が区民などの意見聴取に如何に力を入れてきたかをお伝え申し上げたく、分厚くなりましてご面倒をお掛けしましたが、区民などとの議論の際、現場で実際使用した資料も本日併せて添付させていただいた次第です。

 

「学校選択制」の導入を決めた際、オール大阪では、条例改正後、熟議を通じて専門家や各界代表の意見を聴取、次に、教育委員会で方向性の決定、次に、各区ごとに広く区民などの意見を聴取し区の実情を踏まえ区の方針案を策定というプロセスを踏みました。したがいまして、住吉区における今回の改正案につきましても、まずは、区役所での戦略会議で私の意思を明確にしたうえで、本年4月、住吉区では区政会議の部会に当たります「こども教育専門会議学校教育ワーキング」で議論を致しました。その際に使用しましたのが3ページから66ページまでの資料でございます。この議論の要旨は67ページから71ページまでに添付させていただいております。

 

本年5月には、住吉区教育行政連絡会、いわゆる「校長連絡会」の小学校の部、中学校の部を相次いで開催いたしました。これらの議論でも同じく、3ページから66ページまでの資料と、67ページから71ページまでの教育専門会議の議事要旨を、資料として使用いたしました。「校長連絡会」の議事要旨は73ページから76ページまでに添付いたしております。

 

なお、「こども教育専門会議学校教育ワーキング」、小学校「校長連絡会」、中学校「校長連絡会」はすべて、全文議事録をとっておりますが、残念ながら公開を事前に通告しておりませんでした。教育委員会議の席上で委員各位へご配付申し上げたり、回覧するだけにしたりしても、それらは公開対象になってしまうとの教委事務局見解でございましたので、本日はこのとおり区役所にて全文議事録を具備しているということをお伝えするに留まることになってしまいました。

 

これら3回の議論では、「学校選択制に関する住吉区役所としての総括」も議論いたしました。大阪市教育委員会としては「制度の是非、検証については長期的課題」ということになっております。ただし、住吉区においては、特に校長先生がたから総括のニーズが出され続けてきましたし、住吉区役所としても、「2キロメートル制限条項の撤廃」の議論は、制度全体の総括とは不可分と考えました。

 

本年5月には区民意識調査を実施し、先ほど少しご披露した分析結果を得ました。詳細内容は77ページから85ページまでに添付いたしましたが、そのエビデンスであるクロス集計表、単純集計表、自由回答集につきましては、量が膨大になりますので、このとおり(註:資料の所在を手で示しながら)具備していることのみお伝えする次第でございます。

 

■改正内容の通知

 

以上、改正理由を中心にご説明させていただきましたが、本日ご可決いただきましたら直ちに、区民、保護者への周知徹底作業に着手いたしたく存じます。

 

よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

 

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