解説、体験コーナー、そして、公演を通じて大阪の伝統芸能である「文楽」の奥深さ、楽しさを身近にする「文楽・体験と公演」。1月28日(日)、大正区役所・区民ホールでに開催しました。今回で12年目となります。

人形の操りをお客さまが体験した後の公演。演目は「傾城阿波の鳴門」より「順礼歌の段」。

阿波の十郎兵衛、お弓の夫婦は、盗賊銀十郎と名を変え、大阪玉造に住んでいました。そこへ巡礼姿の娘お鶴がはるばる徳島から父母を探し尋ねて来ました。

お弓は「お鶴が我が子」とわかります。でも、そこで親子の名乗りをしたのでは、我が子にどんな災いが来るとも限りません。お弓は、涙を飲んで別れ、名残惜しげに見送ります。しかし、「ここで別れては今度いつ会えるか分からぬ」と追いかけるのです。

人形であるにもかかわらず、いや、人形であるからこそ切なさがより表現されていました。素直に涙しました。

実はこの後、「十郎兵衛の段」が続くのですが、ほとんど上演されないそうです。あまりにも残酷で演者のかたがたが演じたがらないとのこと。

歌舞伎「盟 三五大切」の「やすとログ」( http://log.yoshidayasuto.jp/archives/5426121.html )でも申し上げたのですが、江戸時代ならではのその段の内容を上村会長から事前に教えていただいたからこそ、吉田康人も悲哀の感動が一層深かったのだと思います。

大阪の素晴らしい文化にまた新たに触れさせていただきました。ありがとうございました。